伊沢健司
国の「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む北海道寿都町の町議会が、全員協議会の議事録の非開示決定をしたのは違法だとして、町民2人が議会を設置した町を相手取り、開示を求める訴えを函館地裁に起こす。原告側は28日付で訴状を地裁に郵送した。
提訴するのは、議事録の情報公開請求をした神貢一さん(67)と槌谷和幸さん(72)で、文献調査に反対する町民団体「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」に所属する。
朝日新聞の取材では、片岡春雄町長が文献調査への応募検討を公表する直前の昨年8月にあった町議会の全員協議会で、「町民に伺(うかが)いを立てて勉強会をするといったらかえって面倒な話になる」と発言したことがわかっている。
訴状によると、議事録の内容を伝えた報道を受け、2人は昨年9~11月、それぞれ町情報公開条例に基づき、全員協議会の議事録などの文書の開示請求をしたが、町議会はいずれも非開示の決定をした。理由は「全員協議会には地方自治法上の会議公開の原則が適用されない」「本議会においては非公開として取り決めされている」とされた。槌谷さんは、町議会が文書の非公開の根拠とした「取り決め」の存在がわかる文書についても開示を求めたが、非開示とされた。
同条例は町民の知る権利を保障し、「原則開示」と定めていると指摘。非開示の決定には理由がなく違法だと訴えている。
2人は、町の情報公開審査会に異議を申し立てたが棄却されたため、提訴を決めた。
町の担当者は「訴状が届いていないので今はコメントできない」としている。(伊沢健司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル